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実在しない女性に本気になった話

当時、音楽をしていた私は、それなりに順調で、活動規模を広げていくうちにファンも増え、これからが勝負という時期でした。
SNSで私に連絡してきたAさんは、当時好きだったアイドルと共演したこともあるというグラビアアイドルをしている方らしくだらだらとメッセージのやり取りを続けるうちに一度会ってみようということになりました。
東京住まいの彼女が、わざわざ地方在住の私のところに会いに来てくれて、その日のうちに意気投合、何日か一緒に過ごし、付き合うことになりました。

何か月か過ぎた日、突然知らない番号から電話が。どうやらその女性の彼氏らしく、一度ちゃんと話し合わないかという展開に。
しかもその彼氏、当時の私から見て音楽の大先輩。私の友人伝いに連絡先を聞き回ってのことでした。体育会系なジャンルだったこともあり恐怖に震えました

しかしその後音沙汰なく数日が過ぎ、彼女とも音信不通。21時を過ぎた頃に突然の来客。
そこには彼女の姿が。どうやら彼氏に暴力を振るわれたらしく逃げてきた様子で、こんなひどいことするのはあり得ない、明日彼氏に連絡しようと決め就寝。
翌日、まさかの向こうからの着信。

今そっちに彼女いるよな?ちょっと代わってくれ、と言われ、まずこの怪我について聞いてみようと思ったその時、彼女が携帯を取り上げスピーカー設定にし、
「ほんとにごめんね、裏切るようなことをして。昨日もあんな過呼吸になってほんとに傷付けちゃってごめん。今すぐ帰るから待っててね。」

とまさかの展開。電話を切り、一息ついて彼女が「昨日あの人すごい泣きながら大荒れして、手が付けられなくなったからこっちまで逃げてきたの。
本当にごめんね。また過呼吸とか起こして体調悪くなったら心配だから一度帰るね。」
と、その場を収めたような物言いに思わず、うん、と頷き、腑に落ちないこともあるけどまずは彼女の言う通りにして落ち着いてちゃんと話せる場を設けよう。
そう思って駅まで送りました。

駅まで送ったら連絡する、との約束だったので恐る恐る彼氏に折り返してみると「お前も可哀想だな、あいつ、何一つ本当のこと言ってなかったぞ。」

彼氏は過呼吸でもなく、暴力振るったわけでも荒れてたわけでもない。名前、年齢、職業、家族構成、もちろん彼氏の有無もすべて嘘でした。

何年も経ったある日、バンド仲間と3人で飲んでいたら、2人が昔話で盛り上がり、「あの時は大変だったけど今こうして仲良くしてるのは本当に不思議だな。」
何があったか聞いてみると、当時の彼女の浮気相手がコイツ、という話。確かに仲良くなれたのはすごいことだ、とよくよく話を聞いてみると…そう、先程の女性の話でした。

先輩の浮気相手が私、私の後に付き合ったのが今、この飲みの場で目の前にいる彼。
更にその彼の浮気相手がその隣に座る彼。魔性の女とはまさにこのことだと思いました。

相手の奥さんにばれた